ポスター印刷のコラム記事

間接的に訴えてアピールするポスターの力

最近広告宣伝の手段にはITまで加わってきて、どんどん進化しています。パソコンやタブレットでネットにつなげれば、即目に飛び込んでくるのはバナーやネット広告です。個人のブログにも広告がついています。情報にあふれた社会は便利なのか不便なのかは別として、そんな時代に私達はいます。

しかし、ITに無縁の人も含め老若男女すべてに投げかけることのできる広告はポスターでしょう。広くに告げる、まさに本来の形だと言えます。一枚の紙にこめられたアピールの内容は様々ですが、人の目に入るだけではなく目をとめてもらうことでポスターの役目が果たせます。そこにはスペシャリストの考えた色々な工夫がこめられているわけです。時には、写真集の1ページのように、時には絵画のように、時には地図のように、時には抽象画のようにそれは変幻自在に様相を変えて目に飛び込みます。テレビのCMには必ず説明と音楽が伴いますが、ポスターは静かに静かにその存在をアピールするものです。そういう意味ではこれほど自信のある宣伝はないのかも知れません。もの言わず人に訴えかける一枚の紙だと思うと、ただ何となく見ているものにもきっと何かインパクトを受けているのでしょう。

情報はこちらから知ろうとするものと、自然に目に入ってくるものがあります。情報を知りたい人には確実にその内容を示し、何かのきっかけでその人には有意義な情報となる場合にはその存在価値があるものです。あるいは街角でふと見るアートのように、本来の目的ではないかもしれない価値がある場合もあります。

ポスターとはそもそも広告媒体なので、人の目を引く演出方法が歴史的に発展してきました。例えば、言いたいことを直接言うのではなく、間接的に訴えかける。こうすることで、一瞬ポスターに目が行ったあと、考えさせる効果があります。

昔、こういうポスターがありました。猫の可愛らし絵と一緒に、「その猫ちゃんはあなたの子供ですよね。」というコピー。これは、捨て猫が多発しているときに貼られたポスターなのですが、「猫ちゃんを捨てるのはダメ!」とか直接的に訴えかけるより、強烈なインパクトがありませんか?「その猫ちゃんはあなたの子供ですよね」の後にハテナがついて疑問文にしていないのも戦略的でいいと思います。その猫ちゃんは、疑いようもなくあなたの猫ちゃんなのだから。捨てる前に、自分の猫であり子供だということを改めて認識されるその手法で、その地域に捨て猫が減りました。

このように、間接的に訴えるポスターは効力があると思います。そして、ポスターにはアピールする大きな力があるものなのです。