ポスター印刷のコラム記事

人を引き付けるポスター制作に大切な、視線を誘導する技法とは?

ポスターを描く場合、簡単な「原則」に忠実に描いていけば誰でもそれなりに格好のよい作品ができあがります。

その「原則」の一つに、「視線を誘導する」という技法があります。これはポスターを見た人がまずどこを見るか、いや、どこに目を向けさせるのかをポスター作成側が意図的に仕組むのです。そしてそこに目を向けさせた後、次はどこに視線を移動させるかというのを初めから狙ってモノの配置を決めておくのです。

例えば、紙面の中で最も目立つキャラクターや図版などを配置します。つまりポスターを見た人にまずここに視線を向けさせるのです。そして次に何を見させるのかですが、コツとしては、次に見させたいモノを、最初の目立つキャラクターのそばに置くのです。よくあるパターンとしては、最初にインパクトの強いビジュアルで視線を引きつけ、続いて、近くに配置されたタイトルに視線を誘導するという手法です。

最初に目を向けさせるビジュアルについては、性別・世代・個人の趣向による違いがありますので、それらをよくふまえた上でモノを選びましょう。それがうまくマッチすれば、訴求力の高いポスターとなります。たとえば、女性なら子どもや動物の顔、男性なら車というような違いを考慮することが大切なのです。

また視線を誘導させる上での注意点は、最初に目を向けさせるビジュアルと次に視線を誘導するモノの距離を近くにして置くことです。これが離れているとどうしても効果は低くなってしまいます。

以上のような点に注意を払えば、視線を誘導して人を引き付けるポスターを制作することができるでしょう。

1枚のポスター紙面に複数の写真などを配置したい場合があります。その写真の数が多い場合は、配置の仕方を工夫しないと、見た目が汚く、印象も弱まり、かえって効果が薄くなってしまいがちです。
ポスターを作成する側としては、あれも載せたい、これも載せたいという気持ちは十分理解できますので、本当は数を絞った方が効果的なのですが、どうしてもたくさんの写真を1枚のポスター紙面に載せたいという場合、写真の形によってグループ化すると、結構レイアウトがすっきり見えて、まとまっているような印象を受けるのです。
では具体的にお話しましょう。たとえば背景と一緒に写った四角い写真と、背景なしでそのオブジェクトの形に沿って切り取った写真がそれぞれ複数ある場合、四角い写真を真ん中に集めて大きな四角形のように並べます。そして紙面の四隅あたりに、オブジェクト形に切り取られた写真をちりばめます。このように配置すると、全体的に統制のとれたバランスのよいポスターに仕上がります。そして真ん中に集めた四角い写真のエリアに、見る側の視線を最初に集めるのです。
従って、そのエリアの上部などにタイトルやコピー文を配置すると、見る側の視線を誘導し、内容もすぐに一目で理解できて効果的ですし、その後、周辺部の写真へと視線が動いていきますので、意外とダイナミックポスターに仕上がります。もし写真の形を度外視してバラバラに配置してしまうと、見た目としては、結局どこから見てよいのかわからず、何を伝えたいのか理解に苦しむ結果となってしまいます。
このように「形でグループ化」するというのも効果的な手法といえます。