電子化が進む中でも印刷された『紙』による情報はなくならない

電子化が進んだ現代ではインターネットの急速な普及と共に、携帯端末の進歩が進んでいます。当然それに合わせるかのように電子書籍などペーパーレスの時代が到来したわけですので、一般的に印刷ビジネスには厳しい時代が来たかのように思われています。

しかし、現実にはあらゆる業種へと入り込んでいる印刷媒体はそれ程低迷しているという訳ではないのです。新聞に入っている折り込み広告を見ても分かりますが、生活必需品として消費者の末端にまで浸透しているのが印刷物の特徴なのです。ですから、電子媒体に変化してきても他業種に比べれば需要が大きく落ち込むことはないのです。

一方で、出版メディアとして見れば、電子媒体の登場によって緩やかに減少傾向が見られるようになっています。ニュースを見るためには、新聞を利用しなくてもニュースサイトで十分な情報をリアルタイムで知ることができる訳ですから、出版メディアの需要の落ち込みは電子化時代の流れには勝てない現状もあります。

出版メディアだけを見れば出版ビジネスは衰退傾向があるように見えますが、メディアの多様化は通販市場へと場を移し、拡大し続けているのです。消費者が触れることの多いメディアとしてダイレクトメールの存在がありますが、現代の出版ビジネスを支えているものの一つがダイレクトメールとなっているのです。

書籍や新聞などの電子化が進み、紙媒体が要らなくなるのでは?という論調がでて早数年ではないでしょうか?
しかし実際はどうでしょう。書籍や新聞においては役割分担や使う(読む)人のシチュエーションなどにより、今のところ共存できているように思います。
一方、交通広告やポスターについてはどうでしょうか?一部デジタルサイネージ化され、書籍などと同様電子化の波はまったくないわけではありませんが、その多くは未だ『紙』です。
思うに大きなサイズから受けるインパクトというものはおそらくそこにあるのでしょう。駅やコンビニのガラスに貼ってあるポスターには、その内容に興味があろうとなかろうと一瞬目を向けてしまうのではありませんか?そしてそこにコミュニケーションとしての企画性・意図が際立っていれば、それは電子バナー広告にはないインパクトと説得力を持った『伝わる』媒体になるわけです。
広告関係の仕事、実際に制作をする立場の仕事をしている人にとって、ポスターの仕事が入ったら、間違いなく『アガる』ようです。例えば、雑誌広告であれば様々な媒体の様々な紙に印刷させるので色味などのこだわりも“そこそこ”でよい、というか追求してもブレるので意味がないというわけです。
しかしポスターは違う。刷る紙も刷るインクも決まっている中での作業。そこではこだわりを思いっきり発揮できます。若干明るく。肌色健康的に。シャドーももう少し起こす。などなど…
そして大体の人は、好きな人やことに関して、『部屋にポスターを貼りたい』と思うでしょう。それは今後も変化するはずがありません。そのような意味で、電子化が一層進む今後もポスターはポスターとして在り続けるに違いありません。

紙への印刷というものは、つくづく便利で役に立つものだと思います。現在、人の日常生活においても、会社などの職場においても、無くてはならないものになっています。
印刷技術も目まぐるしい進歩を遂げてきたものと思います。ちょうどインターネットの発明及び普及により、社会が変わったのと同様のインパクトが、印刷発明時にもあったものと思います。
そしてその印刷は進歩を遂げながら、何かに取って代わられることも無く、現代もなお必要不可欠なものとされていることに、発明されたことの重要性を感じずにはいられません。
多くの人はパソコン及びインターネットの普及により、紙への印刷というものがこの世から無くなるのでしないかと危惧しました。パソコンがあれば情報を紙として残す機会が激減すると思っていたようです。つまり、電子的な方法ですべての情報は提供され、便利になると考えられていました。
実際、情報を配布する際にも電子メールを利用すれば、世界中に瞬時に配布が可能ですし、その電子化された情報はこの先何年経とうが、紙のように日焼けや劣化により、字が判別しづらくなるようなこともありません。
また、現代はパソコンだけでなく、高機能携帯電話、いわゆるスマートフォンが急速な勢いで普及しており、社会には電子化された情報が溢れるようになりました。誰もが紙ベースの情報よりも、電子化された情報を好んでいるように見えます。しかしそれは間違いです。
この超高齢社会において、紙ベースの情報が無くなるはずがありません。すべてのお年寄りがパソコンやスマートフォンを使いこなせると考えることはできません。そういう意味では、今後はますます紙ベースの情報が必要となり、印刷の重要性を実感することになると思います。
今後、様々な電子化が進む中でもお年寄りなどの情報弱者を守っていくために、印刷の進歩も続いていくものと思われます。

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