多色刷り印刷の種類-凸版印刷・凹版印刷・平版印刷

今日は多色刷りの印刷方法に関するお話です。印刷における多色刷りには3種類の方法があります。

第一は凸版多色刷りで、古くから行われてきた方法です。江戸時代元禄期以後大衆に普及した浮世絵はこの方法による多色刷りでした。版木の合わせ方や版の刷り重ね方に特殊な技能を必要とし、版元の刷り師しか現実的に印刷を実行できませんでした。色の重ね合わせはまず薄い色の背景を刷り、次第に色を濃くしていき、最後に黒などの色で全体を締めるというやり方です。

第二は凹版印刷で、印刷業界用語はグラビア印刷といいます。凹版は原版の削り取られた部分にインクが乗るため、色の濃淡がドットの大きさと深さで決まり、多種類の階調表現が可能になります。ビニールなどの表面がつやつやしたものにも印刷可能で、包装紙、パンフレット、広告など応用範囲は広いです。凹版ザンメルという方式では写し取った紙の上にインクが盛り上がった感じになるため、指で触るとザラザラした感触になり、紙幣や切手など模造品の作成しにくい高級な印刷に使われる。

第三は平版多色刷りで、印刷業界用語ではオフセット印刷といいます。平版は石版と同じような方式で、水でぬらした原版の面にインキをつけ、はじいた部分にはインキがつかず、はじかなかった部分のみにインキがつくので、これをゴム等のローラー面に写し取って紙にプリントする。オフセット印刷では色の濃淡をドットの大きさで表しますが、紙に写し取ったときドットの周囲にインクのにじみがないことが特徴で、文字や図形の輪郭がシャープな印刷物ができます。ただし印刷面は平らであり凹版のような盛り上がりはありません。どのような紙にも印刷可能であり多色刷り印刷として最も普及しているが、凸版の力強さに比べるとややぼやけた薄い印象を与えるものです。

このように,多色刷りの知識があると、色々な印刷物を見るときの視点が変わるかもしれません。

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【B0ロングサイズ】【マットコート紙】

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